さらっと、とんでもないことを言ったよ、この人。
禁止って、遥さんはバレンタインに何か嫌な思い出でもあるのかな?
「遥さんが、どうして?」
まず、謎すぎるので訊ねてみたら、彼は困惑の表情でため息をついた。
「毎年バレンタインになると凄い数のゴミ……チョコレートが集まってね」
彼はさらりとそんなことを言う。
「い、今……ゴミって」
「教師も生徒からもらって困ってるみたいだし、教育の場でこういうイベント必要ないから無くしたほうがいいですねって理事長に進言しておいた」
「鬼ーっ!!!」
まさか、うちの学校がバレンタイン禁止なのが遥さんのせいだなんて、知りたくなかった。
「じゃがいもからチョコレートをもらっても嬉しくないよね」
淡々と軽い口調でそんなことを言う彼に、私は首を傾げた。
誰のことを言っているんだろう?
「じゃがいも?」
「その他大勢の女の子のこと」
彼はにっこりと笑って言った。
「あ、あの……じゃあ、女の子からもらったチョコは、もしかして」
ゴミっていうくらいだから捨てたの?
「聞かないほうがいいと思うよ」
と彼は笑って答えた。
ただ捨てただけじゃないのかもしれない。
燃やしたのかな?
まさか、さすがにそんなことしないよね。
でも、結局捨てるなら一緒か。
ううう、遥さんのダークな一面が増えていくばっかりだ。
