次の日曜日も彼らは来た。
もちろん、あのうるさい女の子もだ。
「いつもお邪魔してすみませんねえ」
かえではまったく申しわけなさそうな顔もせずに言った。
遥にはこう見えた。
「いや、いろはちゃんが来てくれたほうが奏太も喜ぶと思うから」
赤ん坊が理解できるかよ、と遥は胸中で呟いた。
彼らが玄関先で挨拶を交わしている様子を、遥は2階の吹き抜けになった廊下から見下ろしていた。
「赤ちゃん、かわいい!」
女の子は嬉しそうに奏太に近づいた。
ドレスのような服を着ている。ピンクと白の生地に花柄模様があり、髪飾りも同系色で揃えられている。
前回もそうだったが、かなり凝ったデザインの高級感あふれる衣服だった。
大切にされているんだろうなあ、あの子は。
遥はふと、そんなことを思って、胸が苦しくなった。
あの子の両親は優しそうで、あたたかい目で彼女を見ている。
妙に悔しいような、うらやましいような、複雑な気持ちで、これ以上彼女を見ることができなくなり、遥は急いで部屋に戻った。
