おじさまは驚いた様子で、しかし怒るでもなく冷静に話す。
「君は、そんな顔をする子だったんだね」
ちょっと言い過ぎたかもしれないと思い、少し頭を下げて謝る。
「ごめんなさい。生意気なことを言っているってわかっています」
「いや、別に怒っているわけじゃない。ただ、とても高校生とは思えないくらい大人びているなと思って。かえでちゃんといるときは、もっとこう可愛らしいというか、いい意味で子供らしかったのに、いつの間に……」
確かに、おじさまの前ではいい子でいるための努力をした。
でも、これからはそれだけではいけないと思う。
「遥さんと一緒に暮らして、私は変わりました」
おじさまが意外だとでも言うような驚いた顔をする。
私は落ち着いてゆっくり話す。
「私はもう、親に甘えてばかりでは駄目だって気づいたんです。遥さんの妻でいるなら、彼に相応しい人間になりたいと思うようになったんです。まだまだなんですけどね」
そう言って笑うと、おじさまも笑みを浮かべた。
そのあとは、おじさまはもう私にお願いをしなくなった。
私は遥さんとの生活をおじさまに話して、彼は何も言わずに微笑みながら聞いていた。
だけど、おじさまは本当に自分の息子のことを何も知らなかったようで、話をするうちに彼はどんどん表情が虚ろになっていき、なんだか寂しそうだった。
