18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「あの、しっかり育つってどういうことですか?」

「え?」

「私はどちらかと言えば奏太くんと一緒で、パパとママにすごく甘えて育ちました。それって、しっかりしていないということですか?」


 我ながらなんて生意気なことを言っているのだろうと思うけど、内心イライラして言わずにいられなかった。

 おじさまは急に慌て出した。


「ち、違う、違う。ほら、君の場合は分家だからしきたりも何もないだろう。だが、うちは違うんだよ。私の代で終わらせてしまうわけにはいかないんだ。このために遥も……由香里も辛い思いをした。そうだ、これは由香里の願いでもあるんだよ」


 おじさまは急に椅子から立ち上がり、前のめりになって訴えるように続けた。


「由香里は……遥の母親は遥が跡継ぎになることを必死に願っていた。由香里の遺言でもあるんだ。だから、遥は由香里の死後も必死に勉学に励んでいた。大人になるまでは、あの子はどこへも遊びに行かず、ずっと家で勉強していたんだよ。あの子もそのつもりだったはずだ」


 おじさまは息を切らせてしゃべっている。

 落ち着かないと、また倒れてしまうんじゃないかって心配になった。

 私は少し考えて、静かに自分の意見を口にした。


「おじさま、実は私、遥さんとあまり話ができていなくて、彼が何を考えているのかも、正直わかりません」

「じゃあ、一度この話をしてみて……」

「でも、私とふたりでいるときの彼は、とても素直に本心をさらけ出すことができる人です」

 おじさまは少し驚いたような顔をする。


「今の生活を大切にしたいと思うのは、彼だけではなく私もです」

「いろはちゃん?」


 私が守るべきものはおじさまのプライドなんかじゃない。


「私は、私の夫の思う道に寄り添って、ついて行きたいと思っています」