18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 学校から帰ると自宅マンションの前に高級車が停まっていた。

 見たことのある車だ。


「おじさま?」

「やあ、いろはちゃん。待っていたんだ」

 おじさまは車から降りてきてゆっくり歩いてきた。

 少しやつれているように見える。


「あの、大丈夫ですか? もう、歩いても……」

「これくらいなら平気だ。それより、君に話があるんだけど」


 義父を(しかも病気の人を)マンションの前に立たせているままではよくないと思い、私は自宅に招き入れた。

 運転手さんは車を走らせて行ってしまった。


「綺麗にしてるんだね」

 おじさまはリビングを見わたすと、感心したように言った。


「加賀さんがたまに掃除に来てくれるんです」

「ここは遥が使っていた部屋だ。新居は構えないのか?」

「えっと、いずれ別のところに引っ越すって言っていたような……」

「そうか。同居をしてくれるということではないのか」


 コーヒーを淹れて、焼菓子と一緒にテーブルへ置いた。

 おじさまは「ありがとう」と言ってコーヒーをひと口飲む。

そして、神妙な面持ちで話を切り出した。


「いろはちゃん、お願いがあるんだ。君にしか遥を説得できない。どうにか、秋月の家に戻るように言ってくれないか?」


 あまりにも必死に、そんなことを言われるから、胸が痛くなった。

 だけど、ちゃんと冷静に、よく考えて言わないと、あとで取り返しのつかないことになる。

 私はふと疑問に思ったことを口にした。


「あの、このままでは駄目なんですか?」

 おじさまはぴくりと眉を動かした。