どうしてこんなことになっているのか、私は頭が混乱して、ただ義両親と遥さんを見つめた。
遥さんはおじさまとあまり仲はよくないのだろうとは思っていたけど、ここまで険悪な仲だとは思わなかった。
「いろは、帰ろっか」
遥さんはまるで何事もなかったかのように満面の笑みを私に向けた。
私はどう反応したらいいかわからず、ただ「うん」と答えるしかなかった。
「坊ちゃん」
退室しようとしたら加賀さんが不安げな表情で声をかけた。
「加賀、しばらく父からの連絡は受けないから、そのつもりでよろしく」
遥さんは冷静にそう言った。
本当にこれでいいのだろうか。
せっかくのお正月の挨拶が、とんでもないことになってしまった。
加賀さんは心配そうに遥さんを見つめていたが、すぐに視線をその背後に向けて驚愕の表情になった。
「旦那さま!」
加賀さんの声に驚いて、背後を振り返ると、おじさまが床に倒れ込んでいるのを目にした。
「おじさま!」
私は遥さんの手を離して反射的に駆け寄ってしまった。
となりで美景さんが何度もおじさまの名前を呼ぶ。
「正史郎さん、しっかりしてください。正史郎さん!」
「おじさま、どうして……」
「心臓を患っているの。感情的になってはいけないと言われていたのに」
美景さんが涙目になりながら話す。
「そ、そんな……」
どうしよう、死んじゃったら……。
不安な思いにかられていると私の背後に遥さんが立った。
彼は心配そうな顔をするでもなく、それどころか穏やかな表情でとんでもないことを言い放った。
「ああ、天罰が下ったんですね」
