18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「か、奏太くん!」

「な、ななな……何してるんだ!」

 それですべてを悟り、慌てて謝罪をする。


「ごめんなさい! 部屋を間違えちゃったの。てっきり遥さんの部屋だとばかり思って……」

「そそそ、そんなわけ、あるかあ!」

 奏太くんは激しくどもりながら赤面している。

 かなり怒りに満ちた表情だ。


「一番端の部屋だって聞いたからてっきり」

「反対側だ!」

「そうだったのね。すぐ、出ていくから」

 とにかく早く退室しなければ非常にまずいと思った。

 すると、奏太くんが大声を上げた。


「待て!」

「え?」

 振り返ると彼は首まで真っ赤にして額から汗をかきながら訊ねた。


「よ、読ん、だ?」

 小説のことを言っているのだと思い、とっさに「読んでないよ」と答えた。


「読んだなあっ!」

 しまった。ここは「何のこと?」と訊くべきだった。もう遅い。


「ごめん。遥さんだとばかり思ってたから。でも、すごくよく書けてるよ!」

「ほ……ほんとか?」


 奏太くんの顔は鬼のような形相から一変し、急に穏やかになった。

 これは(家族として)仲良くなるチャンス!


「奏太くんと私、似てるね。私の部屋もこんな感じなの。推しのポスターやグッズでいっぱいなの。あ、私はイラストを描いてるんだよ」

 奏太くんは呆気にとられた顔で訊ねた。


「き、気持ち悪いとか、思わないのか?」

「どうして? 好きなものに囲まれた部屋なんて最高じゃない」


 奏太くんは照れくさそうに少し笑った。

 いい子だなあと思った。