まず目に飛び込んできたのは可愛い女の子キャラが勢ぞろいの特大ポスター。
そして、壁際の棚にびっしり並んでいるのは数々のフィギュア。
本棚には文庫本がずらり。
特大モニターにはゲーム画面。
パソコンは3台。そのうちの1台は書きかけの……。
「これ、小説?」
まさか、小説を書いているなんて!
知らなかった。
私は部屋の真ん中に膝をついて、俯いた。
「遥さん……どうして言ってくれなかったの?」
拳を握りしめたまま、震える。
「これほどのオタクだったなんて、それを隠していたなんて……」
そういえば、彼は私に近づくためにわざわざアイドルの大和翔真に似せたんだっけ。
すっかり忘れていた。
私は遥さんに見合う大人の女になるために、自分の趣味を全部諦めたのに。
ずっと、ずっと我慢していたのに。
黙っていたなんてずるい!
腹が立つので書きかけの小説を読んでやろうと思った。
どうやら異世界に転生したけど追放された少年の話らしい。
トレンドしっかり掴んでる!
うっかり読み込んでいたら背後から突然叫び声がした。
「お前……!」
その声は、奏太くんだった。
