義両親と奏太くんと私と4人がダイニングルームに残っている。
私はずっと自分のことばかり話していたけれど、ここでようやくおじさまが遥さんの話題を口にした。
「いろはちゃん、遥との生活はどう? 何か困っていることはないか?」
「いいえ、特にないです。遥さんはすごく優しくて、毎日楽しく暮らしています」
私の返答に義両親は顔を見合わせて、少し驚いた表情をした。
「遥くんは普段どんな様子なの?」
と美景さんに訊かれた。
妙な質問をするなあと思ったけれど、素直に答える。
「普段は本当に優しくて、とても落ち着いていて、あんまり怒ったところを見たことがないです。まだ、怒らせていないだけかもしれませんが」
すると、今度はおじさまが訊ねた。
「無視されたり、嫌がらせをされたりしていないか?」
「え? そんなことないです」
どうして、おじさまがそんなことを訊くのだろう。
私が不安な顔をしたせいか、おじさまが少し慌てて弁解した。
「いや、それならいいんだ。仲良くやっているなら私たちは構わないよ。なあ? 美景」
「ええ、そうね。いろはちゃんが困っていないならそれでいいの」
「そうだ。何かあったら遠慮なく私たちに相談しなさい」
ふたりが動揺している様子を見て不思議に思いながらも、私は「はい」と返事をしておいた。
奏太くんはずっと黙ったままだった。
