18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「ねえ、由希ちゃんは遥さんに会ったことあるんだよね?」

 訊ねると由希ちゃんは「あー」と何かを思い出すように宙を見上げた。


「もうずいぶん昔だから顔覚えてないわ。けど、そんなに印象残ってないのよね。親戚の葬儀で会っただけだし、その子ほとんど隅っこにいて誰ともしゃべってなかったしね」


 由希ちゃんはビールを飲み干して、買い物袋から2本目を取り出した。

 彼女は遥さんの1つ下。でも、だったら――。


「ふたりともうちの高校だよね。被ってると思ったんだけど」

「気にしてなかったわ。同学年じゃなきゃそんなもんじゃない? 部活とかで一緒にならなければ」


 まあ、そうだろうなとは思う。

 私だって部活にいる後輩くらいしか知らないもの。


「しかし、なーんか妙に、腑に落ちないというか、なんというか……」

「え? 何が……」

 由希ちゃんは2本目のビールをぐいっと飲みながら首を傾げた。


「結婚式は卒業してからするんでしょ?」

「うん、準備があるから」

「それならなぜ今、結婚する必要があるの? 卒業するまで待てばいいじゃない? いろははまだ高校生なんだから、とりあえず付き合うとかしてさ」


 そこはあまり考えていなかった。

 ただ、誕生日に結婚しようと言われて、すんなり返事をしてしまったのだ。