18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 諦めて、退出する?

 試験をやめる?


 ――無理することはないよ――


 遥さんの優しい声が聞こえた。

 だよね、無理しなくてもいいよね。

 私は鉛筆を置いて、静かに退出願いをするため、試験官に向かって挙手をしようと思った。

 だけど……。


 私はこれでいいのだろうか。

 これからも、遥さんに甘えて生きていくの?

 ひとりで何もできない人間でいいの?

 遥さんがいなくなったら、私はどうやって生きていくの?


 もう一度、鉛筆を握った。

 まだ、諦めるような状態じゃない。

 落ち着いて深呼吸をすると、問題がしっかりと頭に入ってきた。


 ああ、これも……この問題も全部、今まで勉強してきたものだ。

 放っておいたら絶対に理解できなかった問題だけど、遥さんが丁寧に教えてくれた。

 彼が教えてくれたから、私はしっかり理解して、頭に入ったのだ。

 遥さんとの今までの時間を、無駄にしたくない。


 ふいに、ぽんと頭を撫でられたときの感触を思い出した。

 まるで、彼が励ましてくれているようで、それが私の原動力となって、頭が冴えてしっかりと問題が解けた。


 体の熱さも寒気も、吹っ飛んでしまったかのように、すっきりした気持ちになった。

 そして、残り時間ギリギリに最後の問題を解いて、鉛筆を置いた瞬間、試験が終了した。


 終わったと思ったら、急に脱力した。