「相手は本家の長男でしょ? あ、ビール飲んでいい?」
「うん」
私はその両方に同意して頷き、由希ちゃんは買い物袋から取り出した缶ビールを開けて一気に半分くらいまで飲んだ。
「あー、美味い。子供の相手したあとのビールは最高だね」
「ごめん」
「冗談だって。そこは笑ってよ」
由希ちゃんはきっと私が想像するよりもずっと大変なんだろうなあってことはなんとなくわかる。
それでも、彼女は常に明るくて前向きであり、見習いたいところだ。
私は用意しておいたお手拭きと、自分と彼女の分のハーブティーを注いだカップをテーブルに置いた。
すると由希ちゃんが買い物袋から洋菓子店YAKUSAのチョコレートを取り出した。
「わっ、由希ちゃん。これ!」
「あんた好きでしょ。ちょうど売り切れる寸前だったのよ」
「ありがとー。覚えててくれたんだね」
「当たり前でしょ。どれだけの付き合いだと思ってんのよ」
「だよね」
――ここのチョコレート好きだよね?――
そういえば、なぜ遥さんは私の好きなお菓子を知っていたんだろう?
母から聞いたのかな?
