18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 12月に入ったばかりの試験日は、よりにもよって今年一番冷え込む日となった。

 朝起きたら頭がぼんやりしていたけど、きっと緊張でうまく寝つけなかったからかもしれないと思った。

 遥さんは私を試験会場まで車で送ってくれた。


「じゃあ、いってきます」

 そう言って、車を降りようとしたら彼に腕をつかまれた。


「しっかり暖かくして」

 遥さんはそう言って私のマフラーをふわっと巻き直した。


「ありがとう」

「いろは、無理することはないよ」

 遥さんが穏やかな表情で言った。


「大丈夫だよ」

 と私は答えた。


「わたし、合格するから」


 そう言うと、彼はふっと笑って私の頭をぽんと撫でた。


「君は自分が思っているよりは要領がいい」

「え……?」

 どういうことだろう?

 いつも私のことを『おバカさん』だなんて言って笑うくせに。


「君は頭がいいと俺は思ってるよ。短期間でよくここまで成績を上げたね」

 遥さんが、褒めてくれた。

 昨日まで呆れ顔でため息ばかりついていたのに。

 なんだか、嬉しくて涙が出そうになる。


「遥さん……」

「ああ、感動するのは試験が終わってからね。これで失敗したら笑うよ」

「そ、そんなことに、ならないもん!」

 私は笑顔で「いってきます」と言って車を降りた。

 外は頬を刺すような冷たい風が吹いていた。

 それが余計に体の体温を奪っていくみたいで、全身が震えた。


 さ、寒い……。