遥さんとのこと以外は、すべてが順調だった。
とりあえず、試験が終わるまでは余計なことは考えないようにしていた。
とある数学の補講の日。
それが試験前の最後の授業になった。
模擬試験のようなテストをして、その答案が返ってくる日だ。
「わっ……!」
数学のテストが95点。
すごい、わたし史上最高得点!!!
細かいミスのせいで5点を失ってしまったけど、大きな問題は全部解けた。
手ごたえを感じて嬉しくなる。
あとは試験に臨むだけ。
授業が終わって教室を出るときに、伊吹くんと目が合った。
彼は気まずそうな顔をしている。
テストの結果がよくなかったのかなと思ったけど、違うみたいだった。
「伊吹くん、大丈夫?」
「ああ……」
真っ赤な顔をして軽く咳き込んでいた。
「風邪ひいたの?」
「そうかも」
「そっか、お大事にね。今日も寒くなるし、暖かくして寝てね」
「ありがとう」
伊吹くんはますます顔を赤くして俯くようにしながら手を振って帰っていった。
試験直前に体調を崩してしまうなんて、大変だなあと思った。
私も気をつけないと、などと思っていたのだけど。
試験当日。
なんだかいつもより、頭がぼうっとしていた。
