18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「こういうのってなかなかないよね。同じ人に失恋して、その痛みを分かち合うなんて」

 朝陽の言葉に絢は怪訝な表情をした。

 だが、すぐに思い直し、口もとに笑みを浮かべた。


「残念だけど、僕は彼の特別なんだ。君にも理解できない関係だから」

 すると、朝陽は意外にも共感じみた反応をした。


「なんか、わかる気がする。だって、秋月課長と長門先生って、言葉にしなくても意思疎通してる感じがするもん」

 絢は「えっ?」と声を漏らした。

 朝陽はにへらっと笑った。


「本当に、強い絆で結ばれてる友人同士って感じ」

 その言葉には、絢は呆れ顔でため息をついた。

「絆なんか、ないよ……僕とハルには」


 ただ一方通行の想いで繋がっているにすぎない。

 遥はそんな絢を利用しているだけ。

 それでも、遥と一緒にいられるならば何でもよかった。


「そうかしら? その裏に何かあるとしても、絶対的な信頼関係がないと、なかなか意思は伝わらないと思うけどな」

「知ったふうな口を……君に何がわかるんだ?」

 絢は吐き捨てるように言った。


「うーん、わかんないけど。ただ、あなたとハルくんの関係には、あたしすっごく羨ましくて嫉妬しちゃうな」

「嫉妬するなら秋月いろはに、だろ」

「いろはちゃん、可愛いよね。素直で純粋で。昔のあたしそっくり」


 絢は「は?」とバカにしたように笑った。

 そんな朝陽はえへへとだらしなく笑った。