18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


***(そして現在)***


「絢、俺は今すごく幸せなんだ。お前のおかげだよ。ありがとう」


 遥にそのように言われたとき、絢は何も言うことができなかった。

 というよりは、見えない鎖で縛りつけられたのだった。


 遥はとても穏やかに笑っていた。

 しかし、その表情の裏にある本心を、絢は鋭く悟った。


 俺の邪魔をするな。

 俺を失望させるな。

 裏切ったらどうなるか、わかっているな?


 遥の笑顔が眩しくなるほど、絢は恐怖を感じた。


 いやだ。

 ハルに嫌われたくない。

 一生ハルのそばにいるのは僕だ。

 例え、この想いが通じなくとも。


 絢は遥のとなりにいる女の子に目をやった。

 そして、やはり思うのだ。


 なぜ、あんな子が彼のそばにいるのだろう。

 あの子に何ができるというのだ。

 何の取り柄もない子だ。

 ハルのためになることが、できるとは思えない。


 それでも、ハルはその子と一緒にいるんだね?


 絢は諦めたようにため息をついて、遥を見つめた。

 その心底意地悪な、愛おしい男の顔に、満面の笑みを向けたのだ。


「おめでとう、ハル」


 周囲の歓声など、絢の耳には届かなかった。