絢は遥の部屋で大量の写真を見つけた。
データではなく、きちんとプリント印刷をしてアルバムに収めてあるのだ。
今ならデータで写真集も簡単にできるというのに、わざわざ面倒なことをしていることに絢は疑問に思った。
しかし、中身を覗いてみると、そんな疑問など吹っ飛んでしまった。
「なんだこれ? 小学生?」
アルバムの中にある写真はすべて、小学生の女児である。
「勝手に見るなよ」
背後から突然声をかけられて、絢はびくっと震え上がった。
以前から犯罪の匂いはしていたが、やはり遥はヤバイ奴だったのだと改めて認識した。
「ハル、これは……さすがにヤバイだろう」
それに対して、遥は怒ることも反論することもなく、笑みを浮かべながらアルバムの写真を見つめた。
「可愛いよね。いろはっていうんだ。でも、彼女は俺のだから、絢には譲らないよ」
絢は怪訝な顔をして遥に詰め寄った。
「ハル、まさか今まで付き合った女とうまくいかないのは……」
そう、遥は高校でも大学でも付き合っている女がいたのだ。
ただ、すぐに別れてしまう。
絢は自分と同じようにとは行かずとも、遥も女とはうまくいかないものだと思っていた。
だから結局、遥のそばにいるのは友人である自分なのだと。
思っていたのに――。
「前に絢が言っていたことと同じ。俺にはこの子が神様で、今では愛おしい存在なんだよ」
そんなことを言いながら、うっとりと写真を眺める遥を見て、絢は猛烈な嫉妬心を抱いた。
