遥と絢はそのまま同じ高校に進学した。
大学だけは別々に進んだが、それでもふたりは時間が合えば一緒にいた。
一緒に過ごすうちに、絢は遥に特別な感情を抱くようになった。
しかし、それは彼の一方通行に過ぎなかった。
絢の視線の先にはいつも遥がいるのに、遥の視線の先にはいつも別の者がいた。
いつだったか、絢は彼に話したことがある。
「ハルは僕にとって神様みたいな存在なんだよ」
そこから、絢はだんだんと恋愛感情に変わっていった。
しかし、どうやら遥も同じ道を辿ってきたようだった。
「俺にもいるよ。神様みたいな人」
「それ、僕がハルを想う気持ちとは違うでしょ」
しかし、遥は「同じだ」と答えた。
「絢は昔、死んでもいいって言ったことあるよね?」
それは出会った頃のことだ。
あの絶望に満ちた日々でのこと。
「そんなこともあったね。ハルのおかげで今は死にたいとも思わないよ」
「それだよ。俺も同じような時期があった。そのときに、助けてくれた子がいるんだ」
絢は妙にもやもやして訊ねた。
「もしかして、僕を助けてくれたのも、ハルがその子に救われたから?」
遥はにっこりと笑って「そうだよ」と答えた。
