18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 遥と絢はそのまま同じ高校に進学した。

 大学だけは別々に進んだが、それでもふたりは時間が合えば一緒にいた。


 一緒に過ごすうちに、絢は遥に特別な感情を抱くようになった。

 しかし、それは彼の一方通行に過ぎなかった。


 絢の視線の先にはいつも遥がいるのに、遥の視線の先にはいつも別の者がいた。

 いつだったか、絢は彼に話したことがある。


「ハルは僕にとって神様みたいな存在なんだよ」

 そこから、絢はだんだんと恋愛感情に変わっていった。

 しかし、どうやら遥も同じ道を辿ってきたようだった。


「俺にもいるよ。神様みたいな人」

「それ、僕がハルを想う気持ちとは違うでしょ」

 しかし、遥は「同じだ」と答えた。


「絢は昔、死んでもいいって言ったことあるよね?」

 それは出会った頃のことだ。

 あの絶望に満ちた日々でのこと。


「そんなこともあったね。ハルのおかげで今は死にたいとも思わないよ」

「それだよ。俺も同じような時期があった。そのときに、助けてくれた子がいるんだ」

 絢は妙にもやもやして訊ねた。


「もしかして、僕を助けてくれたのも、ハルがその子に救われたから?」

 遥はにっこりと笑って「そうだよ」と答えた。