18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「くっそ……秋月遥、見てろよ。お前、学校に来られなくしてやるからな!」

「名乗ったのが運の尽きだ。間抜けだな」


 ここまでされても負けを認めたくない男子生徒たちは、口々に遥を脅してきた。

 しかし、遥は冷静に彼らに話す。


「〇△✕商会の社長の孫、だったよね? 君は」

 彼らのひとりがぎくりとした表情で黙った。

 遥は別の生徒に顔を向けて、続ける。


「君は、✕△✕工業の専務の息子だ」

「え……どうして?」

 遥はさらに別の生徒に向かって、笑った。


「そして君は、秋月(うち)の傘下だ」

 それを聞いたその生徒は、急に青ざめて焦り出した。


「まずい、こいつ……秋月って」

「何だよ?」

「うちの学校に莫大な寄付をしている会社だ」

 遥はにっこりと笑って話す。


「そう。だから、教師(せんせい)に泣きついても無駄だよ」


 彼らは真っ青な顔で遥から離れ、一斉に逃げ出した。

 途中ひとりが地面に滑って派手に転び、遥が「大丈夫?」と声をかけた。

 すると、転んだ男子は「近づくなあっ!」と叫びながら逃げていった。


「心配してあげたのに、近づくななんて失礼な子だね。まあ、でもこれで彼らが君に近づくことはないと思うよ」


 遥に笑顔でそう言われて、絢は頭が混乱しつつも、安堵のあまり一気に力が抜けて地面に座り込んだ。


「大丈夫?」

 すっと差し出された手を、絢は握りしめて言った。


「ありがとう」