18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「誰だよ、お前」

 と男子生徒のひとりが声を上げた。

 すると遥はすんなり名乗った。


「秋月遥」

 絢は【あきづきはるか】と頭にしっかり記憶した。


「こんなことして、タダで済むと思うなよ」

「そうだ。お前なんか、地獄に突き落としてやる」


 ガソリンをぶっかけられても強気な姿勢でいる彼らに向かって、遥は笑顔のままため息をついた。

 そして、彼はポケットからライターを取り出した。


「え? お前……」

「バカ、やめろ」

「正気か?」

 遥は微笑みを崩すことなく、ライターの火を点けた。


「うああっ!」

「やめろっ!」

「殺される!」


 あたりに彼らの悲鳴が響きわたる。

 絢は驚愕のあまり、体が硬直した。 

 遥はにこやかな笑顔で彼らに忠告する。


「二度とその子に近づくなよ。今度目撃したら、間違いなく俺が君たちをあの世に送ってあげるから」


 その言葉とは裏腹に、遥はとても冷静で、穏やかだった。

 絢は呆気にとられて遥を見つめた。


 絢には、遥が閻魔大王に見えた。