***(絢の過去)***

 遥と出会ったのは、中学3年生のときだった。

 絢は同じ学年の一部の男子たちからいじめを受けていた。

 数人に呼び出され、殴られ、金を取られる。

 それは中学1年の頃からあった。
 

 最初の頃は反撃していた。

 しかし、相手は複数人。

 勝てるわけがなかった。


 その日も、絢は体育館裏に呼び出されていた。

 殴られて、やり返したが、やはり勝てなかった。


 地面に転がったままでいると、そばに誰かが近づいてきた。

 奴らが引き返してきたのかと思い、絢は歯を食いしばって睨むように見上げた。


 そこにいたのが、遥だった。


「いつもやられてるね」

 と遥はたいして心配そうにするでもなく、淡々と言った。

 絢は苛立ちを感じて言い返す。


「見てたのかよ。性格悪いな」

「助けてほしかった?」

「うるさいな。放っとけよ」

「ふうん、じゃあ放っておく」


 遥はそう言って、さっさと立ち去ったのである。

 第一印象は最悪だった。