「ああーいいなー18! まだ半年以上あるー」
何度もため息をつく小春に私は苦笑しながら話す。
「あとちょっとだよ。すぐに来るよ」
「むりぃー我慢できないー成人向け書きたいもん」
「書いてるじゃない」
そう、小春はすでに成人向けの小説を書いている。
だけど、世に出すわけにはいかないから内輪だけで公開しているのだ。
小春の書いた話は結構内容が濃くて、私は彼女の小説を読んで鼻血を出したことがある。
どうして小春は書いていて鼻血が出ないんだろう?
「お前ら、何の話してんの?」
部室のドアが開いて男子生徒が入ってきた。
香取伊吹。
私たちとは違うクラスの男の子。
スポーツが得意なのに、なぜかこの同好会に所属している謎の子である。
彼に向かって小春が呼びかけた。
「なんだ、いぶっきーかあ」
「なんだ、って何だよ!?」
「かわいい後輩ちゃんが来たのかと思ったのにさ」
「悪かったな」
伊吹くんは私たちの横を通りすぎて、壁際に椅子を5つ並べたところに寝転んだ。
「そういえば、いぶっきーも18になったんだっけ?」
「そう。俺、4月生まれだから」
「いいなあー!」
「だろ? 俺もう結婚できるんだぜ」
伊吹くんの言葉にどきりとして、うっかり鉛筆に力が入って芯を折ってしまった。
