「長門先生ってリューセイに似てますよね」
「リューセイ?」
「ほら、SAMURAI王子の!」
「ああ、よく言われるよ」
「やっぱりー。あたしも絶対そうだと思った」
ふたりの会話に、私は入れないでいた。
いや、入りたくなかった。
小春はすっかり長門先生に心を許して、気軽な感じで会話をした。
「長門先生にもショーマみたいな人がいたら絵になるのになあ」
ただのJKの、アイドルの推しカプに絡めての、冗談だ。
それに対し、彼は言った。
「ああ、いるよ」
長門先生の返答に対し、小春は目を輝かせながら「きゃー」と反応した。
しかし、私にはそれが冗談でも笑えない。
「えー素敵。友達ですか? 恋人ですか?」
小春の問いに、彼はどんな返答をするのだろうとドキドキした。
長門先生は笑顔で答える。
「特別な人」
どくんと鼓動が鳴った。
何言ってるんだろう、この人。
だって、普通、友達って言うよね。
男性なんだから。
「それって、やっぱり愛ですか?」
「さて、どうだろうね。好きに想像してくれて構わないよ」
「いやーん、妄想力が高まるうー」
長門先生は歓喜にまみれる小春に笑顔を向けたあと、そっとこちらに視線を向けた。
それはまるで含みを持たせるような表情で、私に向けているのが丸わかりだった。
