「なんかさあ、ぼーっとしてるよね。この前も間宮先生に怒られてたし」
「あれは、私だから由希ちゃんもあんな怒り方したんだよ」
「いとこだもんね。いいなー。先生がいとこって。優遇してもらえるんでしょ?」
「そんなことないよ。由希ちゃんはめっちゃ厳しいよ」
由希ちゃんは公私混同しない。
私の成績だって厳しくつける。
でもそれは、教師として当たり前のこと。
「最近ね、翔真にお姫さま抱っこされた夢を見たの。それで夢と現実がふわふわしちゃって浮かれてたんだと思う」
などと言って誤魔化してみたが、小春はにやりと嬉しそうな顔をした。
「いい夢じゃん。そんないろはにちょうどいい仕事をあげるわ」
「何?」
小春は目の前のノートPCからUSBにデータを保存して私に手渡した。
「はい、最新の原稿。とりあえず読んでおいて。今回の表紙はショーマとリューセイのキスシーンでお願いしたいの」
それを聞いて私は声を上げてしまった。
「えっ、キスシーン!?」
