は、恥ずかしい!!
遥さんの言動だけで、私の体が変に反応してしまう。
「遥さん……放し、て」
「い、や、だ」
彼はわざわざ言葉を強調しながらそう言った。
「片方に体重がかかったら揺れちゃうよ」
「暴れると余計に揺れるよ」
やだやだ。こんな高いところで揺れたりしたら怖いよ。
ジェットコースターは一瞬だけど、観覧車なんて降りられるまで時間がかかるんだから。
と考えたところで、ふと思った。
「遥さんは怖くないの?」
「怖くないよ」
「ジェットコースターは怖いのに?」
「あれは内臓が飛び出しそうだから気持ち悪いだけで、高いところは大丈夫」
そういうものなのだろうか。
疑問に思っていると、遥さんにぐいっと手を引かれて、そのまま彼のとなりに座らせられた。
「いろは、さっきの続きを聞かせて」
「続き?」
「もし、伊吹くんに告白されたらどうするかというところ」
遥さんがとなりで穏やかに微笑んで言った。
まだこの話を引っ張るんだ、と少し呆れてしまったけれど、やっぱり少しは不安があるということだよね。
「どうもしないよ。ごめんねって言うだけ」
「どうして?」
「えっ……」
どうしてって、そんなことをわざわざ言わなきゃいけないのかなあ?
「だって、私は結婚してるし」
「彼はそのことを知らないよね」
「そう、だけど……」
となりの遥さんを見上げると、夕焼けの黄金色に包まれていて、眩しくて目を細めてしまった。
「だって、私は……遥さんのことが、好き……だから」
