今、言うべきなのかな。
だけど、このタイミングってなんだか恥ずかしすぎる。
これじゃあ、無理やり言わされている感じがして、なんだか嫌だなあ。
「いろはは見合いして結婚したから仕方なく俺の人生に付き合っている」
遥さんがとんでもないことを言い出して、慌てて反論した。
「違うよ! 私の意思であなたのそばにいるんだよ。変なこと言わないで!」
遥さんは半眼で表情もなく、私に冷たい視線を向ける。
「もし俺がいなければ、君は大事な高校生活で同級生と恋をして、伊吹くんといい仲になれたかもしれないのにね」
なんてことを言うのだろう、この人は!
「遥さん! 私はそんなこと望んでないし、恋愛したいなんて考えたこともないよ」
「じゃあ、もし伊吹くんに告白されたらどうする?」
どきりとして、言葉に詰まった。
伊吹くんに告白されたら、なんて考えたこともないけど、もしそんなことが起こったら……。
「ほら、すぐに否定できないね」
「い、意地悪!」
思いっきり彼を睨みつけた。
どうして、せっかくのデートの日にこんなふうに言われなきゃいけないのだろう。
何が不満なの!?
「遥さんがそんなに意地悪言うなら、私は本当にどこかへ行っちゃうかもよ」
軽く脅すつもりだった。
それは私を信じてくれない彼に対しての仕返しのつもりだった。
どこにも行かないで、っていう彼の言葉を待っていた。
