18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 薄暗い洋館にわざわざ冷えた風の出る足下。

 点々とした蝋燭の明かりだけを頼りに順路を進む。

 不気味なくらい静かだ

 しかし。


 ドオオオオーンッ!!!!!

 全身包帯で血まみれの人が現れて、私は思わず遥さんにしがみついた。


「きゃああああっ!!!」

 いやだ。むり。かえりたい。

 こわいのきらい。


「いろは、大丈夫だよ。命は取られないから」

 淡々とした口調でそう言われて、私は遥さんを睨みつけた。


「ひどい! やっぱり私が怖いのわかってたのね」

「一応、確認はしたよね?」

「こ、怖くなんかないよ!」

「どっちだよ」


 キェエエエエエッ!!!!!

 着物姿の髪の長い口裂け女が遥さんの顔のとなりに現れた。


「いやあああああっ!!!」

 急いで遥さんから距離を置いた。

 彼はとなりの口裂け女をじっと見て、それから私に顔を向けると困惑の表情になった。


「そうか。俺に何かがあったらいろははひとりで逃げるんだね」

 どきりとした。

 そして、胸の奥がズキっと痛んだ。


「いや、いいんだ。いろはだけでも生き残ってくれれば、俺は本望だ」

「遥さ……」

「君が俺のことを忘れて他の男とどうにかなっても、俺は君が死ぬまでそばにいるだろう」

「やめてー」


 遥さんがエグイ攻め方をしてくる。

 こっちのほうがホラーだよ!!!