冷たいレモンジュースを飲むと、遥さんはすっきりした表情になった。
それから絶叫系ではないアトラクションに乗り、少し混雑が解消されてきた頃に遅めの昼食をとった。
「次は何に乗ろうかな」
ガイドマップを広げて探してみる。けど、絶叫系以外となるともう限られてくる。
「お化け屋敷は?」
突然の提案にどきりとした。
遥さんを見上げると、彼は穏やかな笑みを浮かべている。
それだけは、絶対に避けたいと思っていたのに……。
「えっと、時間があれば……」
「時間はたっぷりあるから心配ないよ」
にこやかな顔でそんなことを言われた。
「でも、遥さんは体調が万全じゃないし」
「絶叫系でなければ何でもいいよ」
ああ、これは……お化け屋敷に行くパターンだ。
逃れられないやつだ。
「もしかして、いろはは苦手? お化けが怖い?」
困惑したような顔で訊かれた。
なんだかわざとらしく感じるのは気のせいかな。
「怖いわけないよ。もう大人だし、作り物だってわかってるんだから」
強気でそんなことを言ったら、遥さんは「そうだよね」と満面の笑みで答えた。
ううう……これは、もしかして遥さんの仕返し!?
