18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 頭を下げたままでいると、遥さんからまったく反応がないので、恐る恐る頭を上げた。

 すると、彼は口に手を当てて顔を背けていた。


「遥さん?」

「あははは……」

 彼は堪えきれないというふうに、声を上げて笑った。


 あれ? 私は何か失敗したのだろうか?


「あのう……遥さん?」

「いや、もう……いろは、どこまで可愛いんだ、君は」

「あ、このワンピース? 由希ちゃんがくれたの」

 遥さんはまた吹き出して、今度は腰を折り、お腹を抱えて笑った。


 これって、ぜんぜん大人の雰囲気じゃないよね。

 たぶん、私は失敗したんだよね。

 でも、そのおかげでなんだか安堵して、少し緊張がほぐれた。


「一応聞いてみるけど、その挨拶はどこで習ったの?」

 遥さんはなんとか笑いを堪えながらそう言った。


 まずい、と思った。こういうこと、リアルではやらないのかもしれない。

 私が培ってきた2次元の知識は、もしかしたらあまり役に立たないのかもしれない。


「習ったわけじゃなくて、なんとなく……」

 ドキドキよりも、恥ずかしさのほうが上回って、私は正座をしたまま俯いてしまった。

 これからどうやってこの状況を挽回すればいいのだろうか。

 悩んでいると、遥さんが目の前に来て、ベッドに腰を下ろして私の顔を覗き込んだ。


「こちらこそ、よろしくね」

 彼は穏やかな笑みを浮かべて言った。


 そして、私たちは――。