なーんて言ってみたけど、今さら後悔している。
心の準備なんて、本当はぜんぜんできていなかった。
私たちはシャワーを浴びたあと、いつもなら廊下でおやすみの挨拶をするのだけど、今夜は寝室でおやすみを言う。
「あぁ……どうしよう、どうしよう」
緊張しすぎて心臓が壊れそうなくらいドキドキしている。
い、一応……下着はめっちゃ可愛いのにしたし、由希ちゃんがくれたパジャマワンピースもレースがひらひらして可愛いし、ムダ毛処理もばっちりだし、どこをどう見られても大丈夫!!
「あうぅ、こわいぃ……!」
ベッドの上で小さく丸くなって座り、頭を抱え込んだ。
漫画でよくある恋人同士のラブシーンってすっごく綺麗でドキドキするんだけど、リアルなんて想像もできない。
はじめては痛いって……痛いって、どんな感じなのかなあ?
その感覚がまったくわからないので恐怖でしかない。
がちゃりとドアが開いて、遥さんが入室した。
それと同時に私は「ひっ」と軽く悲鳴を上げてしまい、体がびくっと震えた。
そして、ハッとした。
新婚夫婦の初夜って、きちんと挨拶からはじめないといけないんだよね?
私は慌てて正座をして、深々とお辞儀をした。
「このたびは、どうぞ、よろしくお願いいたします」
