18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「いろは」

 背後から声をかけられて、びくっと肩が大きく揺れた。

 恐る恐る振り向くと、遥さんが背後に突っ立って涼しい顔で見下ろしていた。

 どくんどくんどくん、と心臓が早鐘を打つ。


「あ……ごめんなさい。これ、私のじゃなかったみたい」

 恥ずかしくてまともに彼の顔を見ることができない。

 すると、遥さんは膝を折ってしゃがみ込み、私の顔を覗き込んだ。


「君のために手に入れたものだよ」

 どきりとして、私はとうとう箱を床に落としてしまった。


「つ、使うの?」

 おずおずと訊ねると、彼は淡々と返した。


「俺は別に使わなくてもいいけど、そうすると君が困ることになるかな」

 どくどくどく、と息苦しいほど鼓動が鳴る。


「で、も……だってこれ、240回分って……」

 どんなことかわからないし、想像もできない。

 不安げに彼に視線を向けると、ふっと笑みを返された。


「ああ、足りないかもね」

「足りないの!?」

 驚愕のあまり叫んでしまった。

 遥さんはまったく動じることもなく、じっと私を見て、それから冷静にとんでもないことを言い放った。


「1年は365日あるからね」

「ま、毎日!?」


 そ、そんな……!