今度のキスは少し違った。
 さっきは唇が触れるだけだったのに、今度は強く押しつけられて、そのあと……。


「ひゃっ……!」

 びっくりして今度は思いっきり離れた。

 今、何か、触れて……。


 けれどやっぱり遥さんは涼しい表情をしていて、私だけがあたふたしている。


 今のはきっと大人のキスだ。

 こんな、こんな感触……ドキドキを通り越して変な感じがする。


 肩が小さく震える。

 体が熱くなる。

 こんな状況に、頭がついていかない。


 混乱している私の頭を、彼はその大きな手でくしゃくしゃと撫でた。


「ごめんごめん。最初はびっくりするよね。少しずつ慣らしていこうね」


 慣らす……慣れるものなのかな?

 大人はみんなこんなキスをしてるの?


「せっかくだから、お菓子食べて。ここのチョコレート好きだよね?」


 遥さんに言われて私はこくんと頷いた。

 彼は極上の微笑みを浮かべながら、さらりとひと言口にする。


「食べさせてあげようか?」

「だ、大丈夫です!」


 すごく好きなお店のお菓子だったけれど、味なんてわからないくらい、私はドキドキしていた。