少し緊張して震える手でスマホを持ちながら話す。
そして、彼の声を聞くたびに鼓動がどんどん高鳴っていく。
『学校に行ってるの?』
「うん、午前中だけ補講に」
『絢と会った?』
「えっ……」
どきり、というよりも、背筋がひやりとした。
『あー……長門、先生ね』
遥さんはわざわざ言い直した。
「会ってないよ。保健室に行くことないから」
『そう、よかった』
そんな安心したような声で言われると、逆に不安になるんだけど。
「長門先生と会うと何かあるの?」
『いや、また何か言われたりしていないかと思って』
そんなふうに言われると、ますます気になるんだけど。
「写真を頼んだのは遥さんでしょ。長門先生は嫌だったかもしれないよ」
『……うん、そうかもね』
なんだろう、今の間は!?
「遥さんはいつも私に何か隠しごとをしているような気がする。私はそれが不安で、あなたのことが信じられないんだよ」
この際だからはっきりと言ってしまった。
もやもやしたままでいたくない。
『もう、すべてさらけ出したつもりだけど』
遥さんは笑いながらそう言った。
確かに今は結婚前よりずっと彼の素顔と向き合っている気はする。
だけど、小さな疑問はたくさんあって、それが全部解消されないとすっきりしない。
「長門先生と友人関係じゃないってどういうこと? 他人には理解できない関係って、どういう関係なの?」
遥さんは黙った。
長門先生の話をすると彼は急に会話が止まる。
