「あのう、遥さんは誰かにいたずらをしたり、そういうことが好きだったりしますか?」
やんわりとした表現で訊ねたつもりだ。
本当は「遥さんは酷いことをする人間ですか?」と訊きたかったけど露骨すぎると思ったから。
適当に「いいえ」と流されるかなと思ったら、意外にも加賀さんは不安げな表情で返した。
「何かされましたか?」
「えっ? いいえ、そんなことないです、けど……」
「ああ、そうですか。よかった」
私は加賀さんのその反応に微妙に違和感を覚えた。
本当にそんなことがなければ、すぐに否定するはず。
加賀さんは何か、私に隠していることがあるのかな?
「あ、勘違いしないでくださいね! 坊ちゃんは子供の頃からちょっとやんちゃなお方だったので、少しだけね、気になってしまって……」
加賀さんは、私の顔色を見て言いわけをしたような気がした。
「あの、やんちゃってどんなふうにですか?」
加賀さんは笑顔だけど、一瞬だけ顔つきが凍りついたのを私は悟った。
ちなみに、私の脳内にはただいま小さな探偵の彼が降臨している。
