「坊ちゃんは写真がお好きだったと思いますよ」
「写真?」
どきりとして嫌な記憶を思い出した。
「ええ、そうですね。よくお庭の植木や花を撮影されていましたね」
「そ、そうですか」
それって、カモフラージュだよね。
むやみやたらに私を隠し撮りしていたのだから、バレそうになったときにそうやって言いわけするつもりだったに違いない。
「それじゃあ、交友関係とかは、どうですか?」
協力者は誰!?
「何人かご友人がおられるようでしたけど、あまり把握していないんですよ。坊ちゃんはご友人のお話はほとんどされませんからね」
「……そうですか」
協力者の存在がわからない。
わからないから、怖い。
学校に侵入できる人で、私のことを知っていて、かつ盗撮ができる人だなんて、考えただけでゾッとする。
まさか生徒の中にいたりしないよね?
それとも先生?
「けれど、ご安心ください。決して人付き合いが苦手というお方ではありませんから」
加賀さんは苦笑しながらそう言った。
負のイメージを払拭するつもりなのだろうなあと思った。
だけど、本性を知っている私はもう彼の何を聞いても驚かないと思う。
