加賀さんと一緒にスーパーに言って食材を購入して帰った。
それからお昼のためのパスタを作った。
海老のトマトクリームパスタだ。
結構大きい海老を使って玉ねぎと一緒にたっぷりのオリーブオイルで炒めて、トマトソースに生クリームとコンソメ、仕上げにあらびきこしょう。
茹で上がったパスタとソースを絡めてお皿に盛りつけたらイタリアンパセリを添えて、出来上がり。
「うわーすっごい美味しい。お店で食べるみたい」
「そうでしょう。レパートリーはたくさんありますからね」
そう言って加賀さんは自身のスマホの写真を見せてくれた。
『献立表パスタ』というファイルにはたくさんのパスタの写真があった。
「ぜーんぶ、教えて差し上げますからね」
「はい、ありがとうございます」
こんな美味しいものが自分で作って食べられるなら、それだけでもお得だよ。
「坊ちゃんはパスタがお好きですからね。きっと喜ばれますよ」
唐突にそんなことを言われて、どきりとした。
食べる手を止めて、静かにフォークを置く。
「あの、加賀さん」
「はい、なんですか?」
「遥さんの若い頃ってどんな感じだったんですか?」
「え?」
「あ、えっと……趣味とか、特技とか……遥さん、自分の話をあんまりしてくれないんです」
加賀さんは少し黙って考える素振りを見せた。
やっぱり加賀さんもそんなに知っていることはないのだろうか。
私の写真を撮った協力者のことを探るつもりで聞いてみたけど、わからないかもしれない。
