18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 微妙に気まずい雰囲気の中で夕食を食べた。

 明らかに見た目も味付けも悪い料理だけど、遥さんは黙って全部食べてくれた。

 そして、デザートにシュークリームも美味しくいただいた。

 あれこれ悩んでもやっぱり大好きなお菓子はすんなり食べられる。


 シュークリームを食べているあいだ、遥さんはにこにこしながら私を見ていた。

 私は顔を合わせづらくて、俯き加減でシュークリームを食べ終わった。


 遥さんと目を合わせると、私はまた素直に何でも従ってしまう気がする。

 それほどに、私の心は彼に支配されているのだとわかった。


 決して自由を奪われているわけじゃないのに、私はまるで彼に縛りつけられているみたいだった。


「じゃ、おやすみ」


 寝る前に、遥さんと別々の部屋へ行くいつもの挨拶。

 夏休みになったら一緒に寝る約束をしていたのだけど、今はもうそんな雰囲気ではなくなってしまった。

 私がそれを拒んでいるのが、彼にも伝わっているようで、彼は私に寝室を一緒にする要求はしてこなかった。


 遥さん、我慢しているんじゃないの?


 そんな問いなどする勇気はなかった。

 そんなことを訊いてじゃあ一緒に寝ようとなっても、今の私はたぶん無理だ。


「おやすみなさい」

 私は静かに挨拶を返して、彼の顔を見ないようにして寝室に入った。