ガチガチに硬直した私の代わりに遥さんが傘を拾ってくれた。
そして彼は私の手を引いて「車に戻ろう」と言った。
吐息の次は手つなぎ……。
次から次へと繰り出される“圧倒的恋人感”に頭も心もついていけず、そろそろ私の心臓が壊れそうになっている。
やっぱり、男の人の手は大きくて力強いなあ。
あんなに簡単に私を抱き上げることができるのだから、当たり前と言えば当たり前なんだけど。
などと考えているあいだに、ぽたぽたと大きな雨粒が顔に落ちてきた。
降ってきた、と思ったら瞬く間に土砂降りとなった。
「わっ!」
「少し急ごうか」
彼は私の手を引いたまま小走りになる。
周囲の人たちも急いで屋根のある建物の中へと避難していく。
駐車場にたどり着いたときには、私たちはびしょぬれになっていた。
「休憩でもしようか」
と遥さんが言った。
「休憩……?」
と私が首を傾げると、彼は穏やかな表情で続けた。
「お風呂に入って服も乾かさないと風邪を引くからね」
なんだろう……スーパー銭湯にでも行くのかな?
