ふわっふわのシュー生地に生クリームとカスタードクリームがたっぷり入ってて、ひと口食べるとクリームがもわっと出てきて、口いっぱいに幸せが広がるあのシュークリーム!!
「すぐに売り切れる人気商品なのに……」
「今朝予約して取り置きしておいてもらったんだよ」
「ど、どうして?」
遥さんはにっこりと優しげな笑顔になった。
「妻に機嫌を直してもらうためにはこれくらいしないとね」
「機嫌って……別に私は機嫌を悪くしたわけじゃないよ!」
「でも、嬉しいだろ?」
う、嬉しい……!
だけど、ここは冷静に対応しなきゃいけない。
「私は、そんなもので釣られたりしない。どうせ、私がその店を好きなことだって調べて知っていたんでしょ? 初めてデートした日だってこの店のお菓子を用意していたのは最初から私を家に連れてくる気でいたんだ」
私の中に(漫画の)探偵の彼が降臨している。
私はまっすぐに遥さんを見据えてはっきりと言った。
すると彼はまったく動じることもなく、むしろ笑顔で答えた。
「よく頭が働くようになったんだな」
「ば……バカにしないで!」
ついムキになって声を荒らげてしまった。
