まさか、計画が失敗したから腹が立って、怒りに任せて私に乱暴しようというのだろうか。
きっとそうだ。このままバレてはいけないから私を事故に見せかけて殺す気なんだ。
それで、どうせ殺すなら一回くらい乱暴してもいいとか、そんな考えなんだ。
だって、サスペンスものの漫画とかによくあるもの!
こういうときって抵抗すると殴られるんだ。
だから、冷静に、話し合いだ。
落ち着け、いろは!
「お願い……遥さん、やめて。お金なら払うから。誰にも言わないから。殺さないで」
思いっきり大人しく言ったつもりだ。
言っている最中に恐怖のあまり涙まで出てきた。
すると、遥さんはまた大きなため息をついて、呆れ顔になった。
「余計な妄想はもうやめろ」
「え……?」
遥さんはかなり困惑した表情で私を見下ろした。
まるで、悲しんでいるかのように見えて少し驚いてしまった。
「遥さん……?」
「どうして、わからないんだ?」
「何? ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ」
「好きだ」
一瞬のことで、聞き間違いかと耳を疑った。
いま、なんて、言った?
「遥さん? 何言って……」
「好きだ。ずっと昔から、好きだった。愛してる」
「えっ……」
「愛してる、いろは」
「そんな、こと……」
わけがわからない。
詐欺師じゃないの!?
