私の頭の中にはもう離婚の2文字が浮かんでいる。
だからもう、とことん問い詰めてやろうと思った。
「どうやってお見合い話を計画したの? どうやってママを騙したの?」
遥さんは眉間にしわを寄せながらため息まじりに話す。
「かえでさんはなかなか君を授かれずに悩んでいた。娘には早く結婚して出産してもらいたいとうちの父に話していたんだ。だから、それを利用しただけ。騙してはいない」
彼はわずかに笑みを浮かべて続けた。
「父が見合い話を持っていったら、かえでさんはたいそう喜んでいたそうだよ」
私はすぐ真上にある彼の顔を睨みつけた。
「ママのことを利用するなんて……」
「利用して何が悪い? 双方がいい思いをするなら利用する価値があるというものだ」
「何、言って……」
開き直った態度で口もとに笑みを浮かべる遥さんは眉をひそめて苦笑した。
「君にはまだ難しいかな」
彼があからさまに呆れたような顔をして、私の胸中は沸々と怒りがわいていた。
「……もう、いいよ」
と私は小さく唸るような声を出した。
そして、彼を見据えてはっきりと訊ねた。
「最後にひとつだけ。目的は何なの!?」
遥さんは呆気にとられたように真顔になって「え?」と声をもらした。
「ここまで聞いてまだわからないのか?」
