「あの頃よりずいぶんと想像力が働くようになったんだな」
何気なく言った遥さんの言葉にどきりとした。
「あ、あの頃って……」
ドキドキしながら訊ねると彼は半眼で薄ら笑いを浮かべながら答えた。
「君が中学生の頃に応募した漫画の選評、ストーリーに起伏がなく最後まで読ませる力がありません」
「いやああああっ!!!!!」
どうして!?
誰にも言っていないのに!!
両親にだってその応募雑誌を見せていないのにどうして!!
どうして、この人が知ってるの!?
「なぜ? って顔してるね。もっと知ってるよ。君がアイドルグループ『SAMURAI王子』のリーダー大和翔真のファンだってことも、それを題材にしたイラストを描いていることも」
「きゃああああっ!!!!!」
どうして!?
全部隠したのに。
この家には翔真に関するグッズはひとつも持ってきていないのに。
「結構似せたつもりだけど、まさかここまですんなりいくとはね」
どくんと鼓動が高鳴った。
「似、せた……?」
遥さんは涼しい表情で淡々と言ってのけた。
「俺、翔真に似てるだろ?」
まさか、それも全部計算だったの!?
