しんと不気味な静けさに襲われて、急に怖くなってきた。
だけど(漫画の中の)探偵の彼はこんなことで怯んだりしないだろう。
「何が目的? 私の家の財産?」
思いっきり睨みつけてみた。
「おかしいと思ったの。私みたいな女子高生と結婚なんて……どうせ、結婚詐欺なんでしょ?」
そうだよ。私ったらどうして何も疑わなかったんだろう。
現実に、こんな素敵なことばかりが起こるなんて、あり得ないはずなのに。
甘い言葉をかけて私を騙そうとしたんだ。そうに違いない。
そんなことを考えていたら、目の前の遥さんが冷たい目で見下ろしながら真顔で言った。
「君は本当にバカだな」
どくんと胸の鼓動が鳴る。
「もう少しまともな推理力はないのか?」
冷めた表情でゆっくりと近づいてくる遥さんに恐怖を覚えて、私は後ずさりした。
だけど、すぐ後ろは壁で、私は近づいてくる彼に追い詰められてしまった。
不安になり、見上げると、彼はふっと笑った。
「どうして、本家の俺が、君の家の財産を欲しがるんだよ?」
そうでしたー。
彼が結婚詐欺をしたからといって、彼には何の得もない。
「だったら、なぜ私を……」
震えながら訊ねると、彼は笑みを浮かべたまま私の顔の近くでひっそりと訊ねた。
「君はこの写真の山を見て他に思いつかないのか?」
「……何かの、復讐?」
怖くて震えながら答えると、彼は「くっ」と笑った。
「一周まわって天才かと思ってきたよ」
何、意味わかんないよ。
どういうこと!?
