18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 しんと不気味な静けさに襲われて、急に怖くなってきた。

 だけど(漫画の中の)探偵の彼はこんなことで怯んだりしないだろう。


「何が目的? 私の家の財産?」

 思いっきり睨みつけてみた。


「おかしいと思ったの。私みたいな女子高生と結婚なんて……どうせ、結婚詐欺なんでしょ?」


 そうだよ。私ったらどうして何も疑わなかったんだろう。

 現実に、こんな素敵なことばかりが起こるなんて、あり得ないはずなのに。

 甘い言葉をかけて私を騙そうとしたんだ。そうに違いない。


 そんなことを考えていたら、目の前の遥さんが冷たい目で見下ろしながら真顔で言った。


「君は本当にバカだな」

 どくんと胸の鼓動が鳴る。

「もう少しまともな推理力はないのか?」


 冷めた表情でゆっくりと近づいてくる遥さんに恐怖を覚えて、私は後ずさりした。

 だけど、すぐ後ろは壁で、私は近づいてくる彼に追い詰められてしまった。

 不安になり、見上げると、彼はふっと笑った。


「どうして、本家の俺が、君の家の財産を欲しがるんだよ?」

 そうでしたー。

 彼が結婚詐欺をしたからといって、彼には何の得もない。


「だったら、なぜ私を……」

 震えながら訊ねると、彼は笑みを浮かべたまま私の顔の近くでひっそりと訊ねた。


「君はこの写真の山を見て他に思いつかないのか?」

「……何かの、復讐?」

 怖くて震えながら答えると、彼は「くっ」と笑った。


「一周まわって天才かと思ってきたよ」

 何、意味わかんないよ。

 どういうこと!?