「何が、目的なの?」
なるべく証拠になりそうな発言を引き出したくて、漫画の小さな探偵役を思い浮かべながらそれっぽいセリフを口にしてみた。
遥さんはふふっと笑ってゆっくりと私に近づいてきた。
「よ、寄らないで!」
そんなこともお構いなく、彼は私に近づいて、それから私の腕を握った。
「やっ……放し……」
「君の考えてることなんてお見通しなんだよ」
ぐいっと腕をつかまれて、スマホを取り上げられてしまった。
「あっ……!」
「録音してどうするつもり?」
訊かれて思わず「証拠よ!」と強気で言った。
もう頭がパニックになっているので正常な判断ができなくなっている。
遥さんは「はははっ」と笑った。
「君の裸体を盗撮していたわけじゃないよ」
さらりとそんなことを言われて猛烈に恥ずかしくなった。
「か、関係ないよ。そんな他人のプライベートを勝手に写真に撮るなんて、それだって立派な犯罪だよ。それに、校内で撮った写真だってあるじゃない。どうしてそんなことができるの? 誰か協力者でもいるの?」
なんかもう、パニックになりすぎていて、私は彼に対して敬語を使う余裕さえない。
いや、もう彼は私の中で敵認定されているから敬語を使う必要はないと脳が判断したのだろう。
彼は冷たく言い放った。
「だったら、どうする?」
驚愕のあまり鳥肌が立った。
