どうしよう。これからどうなっちゃうんだろう。
こんな状態で、普通でいられるわけがない。
身の危険を感じる。
こういうとき、どうすればいい?
ぐちゃぐちゃになって混乱している頭の中を、私が今まで培ってきた2次元が助けに入った。
録音だ。何かあったときのために録音するんだ、いろは!
犯人に遭遇したとき、何かのために録音をしておくという描写のある漫画を読んだことがある。
さすが、漫画の知識って役に立つ!
こっそりとスマホの録音機能をスタートさせた。
「そ、それ……何ですか? 遥さん」
私は震える声をどうにか出して訊ねた。
彼は何も言わずにアルバムを拾って丁寧に本棚に収める。
「遥さん、どうしてこんな……こんなの、盗撮だよ!」
恐怖と緊張で心臓がバクバクする。
遥さんは振り返って、私をじっと見つめる。その表情は冷たく、目つきも鋭い。
怯んでは駄目だと、私はなんとか気持ちを奮い立たせて彼を睨みつけた。
遥さんはふっと笑みを浮かべて短く言った。
「それが何か?」
「えっ……」
彼の開き直った態度に驚いて絶句した。
遥さんはアルバムのひとつをパラパラとめくって薄ら笑いを浮かべる。
「よく撮れてるよね。これ」
「な、何言ってるの? おかしいでしょ? わたし、なぜ私を……こんなに……中学生のときのだって、どうして」
「ああ、小学生の頃もあるよ」
けろりとそんなことを言う彼に、唖然とした。
