18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「遥さん、疲れたでしょ? 先にシャワーを浴びて」

 私が彼の背中を押して洗面所へと促すと、彼は冷静に笑って返した。


「鞄を置いてこないとね」

「それは私が!」

「大丈夫。書斎に用事もあるし」

「だ、だから私が!」

 今、書斎に来られるとまずい!


「いろは?」

 遥さんは真顔になり、淡々とした口調で言った。


「どうしたの? 様子が変だよ」

「そんなこと、ないです。ないです!」

「ふうん」

 彼は冷めたような目つきになり、私の肩に触った。


「ちょっと、退()いてくれる?」

「えっ……」

 彼はゆっくりと私の肩を押して、自分が先に書斎へと向かった。

 そのときの表情は今まで見たこともないほど冷たくて、私は心の底からぞっとした。

 その場に固まったままの私に、遥さんは書斎の現状を見て、落ち着いた口調で淡々と訊いた。


「見たんだね?」

 ぞくりと背筋が凍りつくような思いがした。