「まあ、いろは! どうしたの?」

 母が驚きの声を上げながら小走りでロビーまでやって来た。

 父とおじさまたちもびっくりしながらついて来ている。


 ああ、だから下ろしてほしかったのに……。


「足を捻ったようです。気をつけて見ていなかった僕の責任です。申しわけありません」

 遥さんが母に謝罪したので私は慌てて否定する。


「違うの。私がうっかり転びそうになって、遥さんが助けてくれたの!」

 私はようやく下ろしてもらえて、少し痛むけどしっかり立って歩いた。


「無理はしないほうがいいよ」

「平気です。遥さん、ありがとうございます」


 笑顔でお礼を言うと、彼も微笑みを返してくれた。

 私たちを見ていた母が「まあまあまあっ!」と喜びの表情で声を上げた。


 母は「ふたりが気が合うようで嬉しいわ」と言い、

 おじさまは「いろはちゃんが娘になってくれるなんて嬉しいよ」と言い、

 美景さんは「いろはちゃん、よろしくね」と言い、

 父は「しっかりやるんだよ」と言った。



 もう結婚が確定になってる……!