耳に装着していた通信機が外れ、かしゃん、と音を立てて、地面に落ちる。
屈んでいた筈の俺は、一気に鎖に引きずられるように立たされた。
「……うくっ…」
首に食い込んでいく鎖はなおも容赦ない。
「シュン!!」
アカツキがそう呼んでこちらへ走り寄ろうとするのが横目に見えた。
「奴の動きを止めろ」
背後で俺の首を鎖で縛りつけている相手がアカツキの方へ向けてそう叫んだ。
「……おい、何をする!」
アカツキの声が響いた。
首を捻って必死にそちらを見ると、ここまで案内してくれたあの船員がアカツキをがっちり捕まえていた。
虚ろな目をした船員が、アカツキの両手を掴んで見動きを奪っている。
床に転げ落ちた懐中電灯がぼんやりとその光景を不気味に照らし出していた。
「……ア…カツキ…」
すると俺の背後に居る相手がいきなり笑い声を上げ始めた。
「ふふふ…。
ここまで来れたのは褒めてあげましょう。
ですが、あなた達は私の用意した場所にのこのこやって来たにすぎない」
妖艶な女性の声だけが耳元で響くが、顔は見えない。
「そこにいる船員はあなた達が来る前に私の言うことを忠実にきくように暗示をかけておきました。
そして来たるあなた達の声のかけやすい位置に配置しておいたのです」
鎖による絞め付けが少し弱まる。
俺はやっと声を出せた。
「……あの紙の送り主はお前ということか」

