「……目印……」
この暗闇の中でも分かる目印とは何だろう。
俺はふと思いついて、懐中電灯の光を消してみた。
やがて暗闇に目が慣れてきた俺は、テニスコートの端の方で明滅する何かを見つけた。
「……あれは…」
そちらへ向かって走り寄る。
暗がりに目を凝らすと、それはベンチの下。
「シュン」
後ろからアカツキが追いかけてくる足音が聞こえた。
俺はベンチの前で屈み、その下を覗きこむ。
「……これはっ!!」
その光源の正体を知った俺は思わず叫んでしまった。
「シュン、どうした?!」
問い掛けてくるアカツキに、俺は振り返り答えた。
「――爆弾だ!
爆弾が仕掛けてある!!」
そこに在ったのは何本ものコードが張り巡らされた歪な筐体。
明滅する光は、その筐体の真ん中にデジタルで表示されたタイマーによるものだった。
「なんだと?!」
アカツキは俺の隣に来て、それを確認する。
白く灯るタイマーが刻一刻と時間を刻んでいた。
9:48、9:47、9:46…
「これは…」
爆発までのカウントダウン…。
「あの予告状に書いていた通りということか!くそっ!」
アカツキは立ちあがり、忌々しげに叫んだ。
「…え?爆弾?!……嘘?!」
船員の人が状況を呑みこめず目を白黒させている。
「とにかく…!
危ないかもしれないから、二人は離れて」
俺は船員とアカツキを後方へと誘導する。
そんな俺にアカツキは焦った目で訴えてくる。
「シュン。
この爆弾のタイマーが本当だとしたら、あと9分しか時間がねぇ。
どうすんだ?」
「どうするって言われても……」
「爆弾の解除方法とか、どの色のコードを切ったら止まるとか知らねぇのかよ?」
「知るわけないだろ!」
こんなピンチの時にだけに発動するご都合主義的なスキルと運は持ち合わせていない。
「冷静になれ。アカツキ。
時間が無いわけじゃない。まだ9分はある。策を講じる時間は在る」

