「さぁ?どちらでもいいんじゃない?
お互いの親が自分の娘を自慢し合った結果生まれたのが、この勝負なわけだし」
「まぁ、そうね」
「でもわざと負けてくれようとしなくてもいいわよ。
私、あなたに勝つ自信はあるから」
「へぇ。なかなか言ってくれるじゃない。
さすが、勝負師を名乗るだけのことはあるわね」
「褒めてくれなくていいわ」
白石星羅は黒のポーンを前進させながら言った。
栗原椎菜は組んだ手の上に顎を乗せながら、星羅を眺めた。
「聞けばあなた、一夜にしてカジノで億単位のお金を動かしたこともあるんでしょう?
それほどの力があるなら別に白石家に入らなくても、一人でやっていけたんじゃない?」
「馬鹿ね。
賭博の世界は小娘一人でやっていけるほど甘くないわ。
目を付けられたら命を狙われることだってある。好き勝手に稼ぐにも強大なバックが必要なのよ」
「ふぅん。
本当にそれだけが理由かしら」
椎菜はゆったりと笑みを広げた。
「……何が言いたいの?」
星羅は声を落として問い掛ける。
「実はもっと単純にして、子供らしい理由なんじゃないかと思って」
椎菜は白のナイトに手を伸ばし、コトッ…と一際音を響かせて、それを動かした。
「あなたが白石家に入ったのは、本当は心の拠り所が欲しかったからじゃないの?」

